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zoom RSS 【カスタムショップの現場から】カスタムヘッド

<<   作成日時 : 2010/03/19 17:21   >>

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去年の年末に完成したカスタムネックをちょこっとご紹介します。スコットから、「あまり大々的に宣伝しないでくれ」と頼まれたネックなので、コッソリご紹介です。(笑)


まずはとにかく、バンジョーをお見せしますね

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今回はめずらしく、若いプレーヤーからのご依頼でした。普段のカスタム注文は、ヴィンテージ物をベースにしたオーダーがほとんどなのですが、ネックのご希望内容が少々斬新だったり、またガンコ職人が賛成しかねる規格もあったので、実は1度目のご依頼は、辞退させていただいたんです。この場を借りて、皆様にも申し上げておきますが、カスタム製作といっても、何でもかんでもお引き受けできるとは限りません。楽器製作には、それ専用の道具やjig(ジグ、治具)などが必要で、大きく規格外の物を作るには、そのためのジグから作らなければならないのです。バンジョーを作る以外にかかる時間と費用をカスタム製作代に乗せることはできないので、現実問題として受注をお断りすることもあります。(たくさん作っているZブリッジでさえ、ジグが必要で、昨年、1/2インチ用のジグを作ったので、ようやく1/2インチのZブリッジも受注できるようになりました)

また、まったく新しいデザインですと、見た目には良くても、楽器として機能するか分かりません。メーカーが新しい物をマーケットに紹介するまでには、試作や改良にそれなりの時間をかけています。これまたZブリッジの話ですが、発売するまでには、試作を重ね、テストしてもらってはまた改善、というように時間をかけて検証してから販売に至っています。つまり、新しい物を導入するまでには、試作と検証に時間と費用がかかるのが普通なんです。

そんな訳で、お客様のオリジナルデザインで、完全な1点物というのは、受注がなかなか難しい面があるのです。引き受けた以上、見た目は良くてもプレイアビリティに問題アリのものはお渡ししたくない、というビルダーとしての良心とプライドがありますので、お客様の全く知らないところで、膨大な時間とエネルギーが(、そして費用も)かかってしまうのです。よくスコットの言うことに、「バンジョー作りを本業にする前だったら、チャレンジとして引き受けたかもしれないんだけど」という言葉があります。残念ながら、もうバンジョーが本業になり、その本業が忙しくなってしまったので、次回のチャンスは、スコットが引退し、再び趣味として好きなだけ時間をかけてバンジョーが作れるようになる時です。(笑)


さてさて、また前置きが長くなりましたが、今回のオーダーのお話をいただいた時には、ネックのサイズもバンジョーとしては規格外、ヘッドのデザインに関してもお客様のオリジナル、オプションを挙げたらキリがないというくらい特殊なオーダーでした。そのためスコットから、申し訳ないけれどお断りするよう頼まれたのですが、何度かメールでお話しているうちに、お客様の熱意を感じ、「何でもやる課」のRとしては「これはもう、スコットを説得するしかないだろう」という気持ちになり、最終的には受注が決定しました。


お客様のこだわりはいろいろありましたが、一目ですぐ分かるのはヘッドデザインだと思います。これに関しては、お客様からいただいたラフスケッチをもとにといいますか、ほとんどそのままデザインにしました。

いただいたのは、お客様のイメージで描いたラフスケッチだったのですが、
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それをもとに、こんなふうに描き直し、
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お客様に見ていただいたところ、イメージどおりと言ってくださり、また、スコットからも大丈夫だろうとOKが出て、ヘッドデザインはめでたく決定!


ネックビルのギャラクシーをすでにお持ちのお客様で、指板のインレイは気に入っているということだったので、指板はほぼそのままに決定。ヘッドのインレイデザインは、デザインを検討するための叩き台にするために「お客様のご希望のイメージは多分こんな感じ?」というのを作ってみたところ、イメージどおりと気に入ってくださり、なんとそのまま採用となりました。(作った私が一番ピックリ!)

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でもあくまでも叩き台のつもりで作ったデザインなので、「星雲なんて、インレイにできるのかなぁ」とちょっぴり心配していたのですが、カスタムインレイをお願いしている磯田さんが素晴らしいアイディアを考えてくださり、ジャ〜ン、画期的なヘッドインレイが出来上がりましたよ! 綺麗でしょ?

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この他、このネックの主な特徴を挙げますと、写真で気づいた方もいるかもしれませんが、かなり幅広のネックです。ご希望はさらに広かったのですが、お客様と打ち合わせを繰り返し、新たにjigを作らずにできる範囲でめいっぱい太く、というところに落ち着きました。またこのネックは、ナット側とポット側でレイディアスの数値が異なるという複合レイディアスで作られています。

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この企画は、ガンコなスコットと、それに負けず劣らずカンコなお客様(ゴメン!)が、話し合って接点を見出し、アイディアを出し合って、ようやく1つのかたちになりました。(完成品を見てると、そんな経過があったなんて、全く感じられませんけどね) 取り掛かる前はあまり気が進まなかったようなスコットも、完成が近づく頃には、「いつかオープンバックを作ることがあったら採用してもいいかな」なんてつぶやくほど、ヘッドシェイプに満足していた様子でした。(それを聞いて私は内心、「ムホホ。ほらね〜。やっぱりやってよかったじゃん」と思いましたよ)


私もいっぱい係わらせていただいて思い出の1本となりましたが、スコットの「あまり宣伝しないでくれ」という気持ちも痛いほど分かりますので(笑)、皆さん、あまり無茶な企画は持ち込まないでくださいね!! 「オレは、金に糸目はつけん。いくらでもジャンジャン払うから作ってくれ〜」という超太っ腹な方の場合は、この私が何としてもスコットを説得しますのでご相談を。(ナ〜ンチャッテね! )









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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
すごーい!ですね。ブリッジは1インチですか?

2010/03/19 19:58
稲さん、ご質問はソコですか?(笑) でも、いいご質問です。高さは確認しなければ分かりませんが、ネック同様、ブリッジにもこだわりがおありでした。もともと弦幅が広いほうが弾きやすいという方で、ネックも広くしたので、ブリッジの溝のピッチも広くしています。また、ネックのレイディアスに合わせて、ブリッジも同じレイディアスで製作しています。
R
2010/03/19 20:52
貸してもらい弾きました、私はS39年のピアレスに始まり、今までおそらく30本位とっかえひっかえしてきましたが、すべてサイコ-・・・です。言う事なしです。
そのオヤジ
2010/03/21 07:43
そのオヤジ様

お父様世代とは求めるものが全く違うというのが、非常に新鮮でした。(でも、定番に執着せず、新しいものへの好奇心とチャレンジ精神は、お父様ゆずりですよね) スコットを説得できた最後の一言が何だったかご存じですか? まだ日本ではあまり知られていなかった段階で、Zブリッジを見つけて試し、その良さを認めてくれた人のひとりだった、ってことなんですよ。 
R
2010/03/21 09:07
Rさん ありがとうございます。Rさんのおっしゃる通り、ネックビルギャラクシ-指板インレイと今回のネックインレイが非常にマッチしております。星雲なんかは今までのペグヘッドインレイでは無かった と思います、ざん新です。
そのオヤジ
2010/03/21 09:30
私たちは、息子さんが抱いていたアイディアを形にするお手伝いをしただけですが、イメージどおりに出来たのなら何よりも嬉しいです。

あの星雲には周囲の業界人も少々驚いていたそうです。小さな星雲ですが、実は結構画期的みたいですよ。

2010/03/21 09:54
今回のバンジョーはすごいですね!!でも、私が頼むとしたら・・・スコットさんに迷惑がかかるかも?
うみやま
2010/03/21 13:04
うみやまさん

はい、トンネルはNGです。(笑)
R
2010/03/21 19:20

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