デザートローズ・バンジョー

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zoom RSS トニー・パス・バンジョーリムの塗装について

<<   作成日時 : 2009/11/25 14:36   >>

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これは1年位前からずっとお話しなければと思っていたことなのですが、ずっと後回しになっていました。でも、先日の『予告:デザートローズ・バンジョー(ソルトクリーク)1本販売します 』のコメント欄で塗装の話が出たので、この機会にお話しておきたいと思います。


アコースティック楽器の塗装は、できる限り薄いほうがいいのではないか、というのは誰もが考えるところだと思います。ただバンジョーという楽器に関しては、バイオリンやマンドリン、ギターなど必ずしも同じ考え方ではないようです。

バンジョーのパーツの中で、木でできていて、塗装されるものというと、ネック、リゾネーター、そしてリムがあります。同じように楽器の背面にあるパーツでありながら、バンジョーのリゾネーターは、バイオリンなどの裏板とは役割が異なるんだそうです。バイオリンは、弦の振動が、駒を通して表板→魂柱→裏板へと伝わり、ボディ内部全体が振動し合い共鳴して、f字孔から楽器の外へ音(空気の振動)が広がるという原理で音が生まれますが、バンジョーの場合は、弦の振動はブリッジを通してヘッドへと伝わり、さらにトーンリングとリムへと伝わって、ポット内部で生まれた音(空気の振動)は、リゾネーターという反射板によってはねかえされて前へ出る、という原理です。そう言われてみれば、リゾネーターは結構厚く頑丈にできていて、振動しやすさなんて考えてなさそうですよね。(笑) 要するに、バンジョーのリゾネーターの塗装に関しては、振動しやすさを考慮する必要はないんだそうです。それよりはむしろ、ぶつけたりこすったりというダメージからバンジョーを守るという点で、リゾネーターとネックの塗装は重要なんだとか。(ぶつけたけど、塗装のおかげで木部までは傷が入らないで済んだってこと、けっこうあるでしょう?) そしてもちろん、塗装は手についた皮脂や汚れからネックを守る役割もあります。


ただし、近年、個人製作家や小メーカーの中に、ウッドリムの塗装は音への影響が小さくないはずと考える人たちが増えてきているそうです。(ちょっと考えれば、素人でも「そうだろう」と思いますよね。) スコットもトニーも同じ考えで、トニーは自分のリムにわざと最小限の塗装しかしていません。


私がトニーの塗装の意味を知ったのは、ちょうど1年前、あるお客様からご質問をいただいたのがきっかけでした。リムをトニーのブロックリムに交換なさった方から、前のリムに比べて仕上がりの見栄えがちょっと残念、という感想をいただいたのです。そのバンジョーはリッチ&テイラー製のもので、丁寧に作られていました。交換前のリムも最近作られたばかりなのではないかと思うほど、塗装の美しいリムでした。

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お客様に代わってスコットに質問してみました。そして分かったことは、より良い音を追求し続け、変化に敏感に対応できる個人製作家や小メーカーを中心に、リムの塗装に関する考えが進化している、ということでした。このバンジョーが作られた頃は当たり前だった厚めのコーティングに疑問を感じるビルダーが出てきた、ということなのです。

トニーはリムの表面をツルツルに美しく仕上げるための塗装は、あえてしていません。塗装をするのは、リムの表面を湿気や汚れから守るためであり、音への影響を考えて、最小限に留めています。もしも「なぜもっとピカピカにしないんだろう」と思っていらっしゃった方がいらっしゃったら、これを機にその理由をご理解いただければ幸いです。

幸いなことに、リムはネックやリゾネーターと違って外傷を受けにくいですし、手でさわりまくって汚れるところでもありません。しかも大半は隠れてしまって見えなくなってしまうのですから、ちょっと考えてみれば、音を犠牲にしてまで厚化粧する必要性なんてありませんよね。それともリムだけ眺めて楽しみたいです?(笑)


↓は、その時交換したトニーのウディーです。表面がツルツルにコーティングされてはいませんが、マットな仕上がりも美しいと思いませんか? 薄い塗装でこの質感に仕上げるために、非常に目の細かいサンディングペーパーで丁寧に仕上げているそうですよ。(塗装でごまかしていない、と言えるのかも)


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これ↓は近々ご紹介しようと思っているRB-250のオリジナルリムと、それに合わせて作ったトニー・パスのリムです。マルチプライリムは特に塗装が厚いので、差が歴然ですね。

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トニー・パスのリムは、単に「すぐれたブロックリム」だからいいのではなく、トーンリングとのフィット、そして塗装など、全てが製作者トニーの計算どおりに成されて、その性能を100%発揮するんだと思います。お客様にご不便をおかけしてまでもオリジナルパーツをトニーの元へ送っているのは、まだまだ説明しきれていない、大小のこだわりがあるからなんですよ。


トニーのリムの塗装に関して、もう1つ補足しておきます。ロストティンバーは、長い間眠っていた湖底のミネラルの影響か、発色のコントロールが難しいんだそうです。(時々、びっくりするような色に発色するらしいですよ) なので、元のリムと同じ色を狙っても、同じ色味にならないことがあります。何層か塗装を重ねれば目標の色に近づけることもできますが、すでにお話したとおり、それでは音にとってマイナスになりかねません。自然がもたらす偶然を、そのまま受け止めていただけると嬉しいです。




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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
製作者の方々はいろいろと研究し改良してよりよい音色を追及しているんですね。
木の持ち味を損なわず丁寧に研磨され、光沢ある表面に仕上がっています。白木の時とは大変身重厚な印象です
こばやし
2009/11/25 18:01
お客様に指摘されるまで、塗装の仕方の違いを意識したことがなかったのですが、塗装1つでも奥が深くて面白いですね! トニーのリムの工夫は、トニーに言わせると「別に秘密というわけじゃないよ。答えは目の前にあるんだから」なのですが、その意図を説明されて初めて「なるほど」ということになるんですよね。

今日あたり、トニーのリム所有者の方はきっとリゾネーターをはずしてリムをまじまじとご覧になっていることでしょう。
R
2009/11/26 08:18
美人は、薄化粧に限るです!

2009/11/26 19:00
特にリムに関しては薄化粧ですね。量産機械のエンジニアであるトニーは、ほぼ一瞬にして薄く均一に塗装するための機械だか装置だかも自分で考案して作ったそうです。(その才能がうらやましい。。。)

この話題をなぜ1年も放っておいたかというと、リムの話と合わせてリゾネーターやネックの話もしないと誤解を生むだろうと心配したからです。一口に「バンジョーの塗装」と言っても、パーツの機能によって考え方も対応も違うということが理解していただければ書いた甲斐があったというものです。
R
2009/11/27 08:47

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トニー・パス・バンジョーリムの塗装について デザートローズ・バンジョー/BIGLOBEウェブリブログ
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