デザートローズ・バンジョー

アクセスカウンタ

zoom RSS ロストティンバーを使ったトニー・パスのリム(あれこれ1)

<<   作成日時 : 2009/04/03 14:58   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

トニー・パスのリムに関しては、以前にもインタビューなどを取り上げましたが、素材であるロストティンバーについて理解が深まった今、トニーのリムに関しても理解を深めていただけるのではないかと思います。いい機会なので、以前はお話するチャンスのなかったことも含めて、トニー・パスのロストティンバー(バーチ)製ブロックリムを取り上げてみたいと思います。


今日のテーマは、「従来のバーチに対するイメージは忘れてください」です。

初めてトニーのリムについてブログで取り上げた頃だったと思うのですが、トニーのリムがバーチ製ということから、読者の方からメールをいただきました。そして、80年代まで販売されていた雑誌には、「バーチのリムは音量がものすごく大きいけれど音色は味がない。メープルのリムがウイスキーなら、バーチのリムは合成酒。音量最優先なら試してみる価値はあるかも知れないが、ネックやリゾネーターなどである程度音色の調整はできるけれどメープルにはかなわない」といった内容が書かれていたと教えていただきました。


同じように思われていた方もきっといらっしゃると思うのですが、今なら理解していただけるのではないかという期待を込めて、3つポイントを挙げておきたいと思います。


1.雑誌で言及されていたバーチは、ロストティンバーのバーチではない。

 80年代というと、ロストティンバーが発見される10年以上も前のことになります。当時入手できたバーチと、ロストティンバーのバーチは、別物とご理解ください。

メイプルにしても、従来のメイプルと、ロストティンバーのメイプルでは同じではありません。ご存知の方もいると思いますが、トニーも最初は(ロストティンバーの)メイプルでブロックリムを作りました。メイプルがスタンダードであり常識だったからです。しかし、当初のメイプル製ブロックリムは、その素晴らしさを絶賛した人もいれば、音が硬いとおっしゃる人もいたそうです。その後、たまたまロストティンバー・メイプルの入手が間に合わず、しかたなくロストティンバー・バーチで試作したのがきっかけとなりましたが、結果的にメイプルを上回る高評価(メイプル製を絶賛していた人たちでさえ、バーチに飛びついたそうですよ)を得て、現在まで、ほぼ100パーセント、ロストティンバー・バーチで製作しています。残念ながら、ごく初期に作られたメイプル製のものしか使ったことのない方もいらっしゃるので、トニー・パスのリムに関する評価をお聞きになったときは、その点をお忘れなく。



2.雑誌で言及されていたバーチリムは、ブロックリムでなく、プライリム


 雑誌の記述は、当然のことながら、プライリムという前提でメイプルと比較しています。まっすぐな材をむりやり曲げてつくるプライリムと異なり、トニーのブロックリムは、ストレスフリーの状態で組み立てられています。作られて間もないリムなのに、おなかにビンビン伝わってくるほど振動するのは、ブロックリムというデザインのおかげです。80年代の常識で、普通のメイプルリムと、トニーのロストティンバー・バーチ製ブロックリムを比較することはできません。(ビデオはBetaかVHSかで争っていたあの時代、誰がブルーレイなんてものの出現を想像したでしょう。ちなみに私はVHS派でした

 ついでなので触れておきますと、ロストティンバーを使う場合、ブロックリムはさらに有利となります。現代の木材であっても、熱とスチームで曲げてつくるプライリムは完璧に作ることが難しく、層と層の間に隙間ができやすいし、その分、接着剤がたくさん使われます。(スコットがプライリムの使用をやめたのも、これが理由です) 現代の材でさえも、そうなのです。 乾燥すると非常に硬くなるロストティンバーとなれば、曲げてプライリムにすることはさらに困難なのだそうです。(そりゃそうでしょうね。。。)

 先日もある方とメールをやりとりしていて出てきた話なのですが、大人気のプリウォーバンジョーのリムは、確かにプライリムであって、ブロックリムではありません。でも、トニーのインタビューを読まれた方は覚えていらっしゃると思いますが、プリウォーバンジョーのプライリムが素晴らしく鳴るのは、長年の間に、無理矢理曲げられた板がその形状で安定することと関係がありそう、という話でした。(先日ふれた、“植物細胞中の有機物質が結晶化”というのと関係あるんでしょうか。。。) もしその仮説が正しいならば、仮に今、当時と同じ材を使って、同じ製法で作っても、プリウォーバンジョーのように鳴るのは、数年、あるいは数十年先、ということになります。ですから、新しいバンジョーで、プリウォー・バンジョーのようなオールドサウンドを求めるなら、木部パーツに関しては、当時の真似をするのでは不十分。現代手に入る素材と技術を駆使して、まったく異なるアプローチで試みなければ、オールド・サウンドの再現はできない、と考えられるのです。これが、現代の製作家に課せられた、大きな課題なんですね〜。

 もちろん、ブロックリムなら、何でも同じ結果が出るわけじゃありませんよ。トニー・パスのリムのおかげで、ブロックリムが注目を集め、同じようにブロックリムを製作して販売する人も何人か出てきました。中には「私のアイディアはトニーよりも遙か先を行っている」と公言してはばからない方もいるのですが、私は何も言いません。  写真を見て、皆さんがご自分で判断してください。(注:私共ではオーダー取次ぎはいたしませんので、各自でお願いします。)  うまくリンクできないので、コピー&ペーストでどうぞ。

 http://www.banjohangout.org/forum/topic.asp?whichpage=2&TOPIC_ID=143545&#1788245


3.80年代とは、プレーヤーが求める音が変わってきている。

 求める音が変われば、求められるパーツも変わる、ということですね。



 良いリムを作るために、今考えられる全てを注ぎ込んだトニー・パスのブロックリム。実際に所有している方も、気づかれていないトニーのこだわりはたくさんあります。やはり企業秘密でお話できないことがたくさんあるのですが、できれば次回、いくつかお話したいと思います。

 でもね、トニー・パスは、根っからのエンジニアで、アイディアマン。さらなる改良を目指して、今も日々、いろいろとやってますよ〜。


以前のトニー・パスに関する記事を読みたい方は、ページ右上にある「サイト内ウェブ検索」に、『トニー・パス』というキーワードを入れて検索してみてくださいね。







月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
今、無事にお花見から帰って来ました。5分咲き〜7分咲きで、結構きれいでした。そうそう、思い出しました。スコットさんに「リムとブリッジをロスト・ティンバーのバーチにしたのだから、ネックもそれにしたらどうかなー」と言ったのです。これは、最近の私の仮説なんですが、ロスト・ティンバーのバーチは、この世(地上)の古ーいメイプルと硬さが似ているのではと思っているのです。

2009/04/03 18:44
稲さんの頭の中にはいつも面白い考えがいっぱいですね。稲さんはビルダーになるべきです。またヒントをいただいたので、次回かその次にでも触れたいと思います。(書きたいことがたくさんありすぎて、まとめるのが大変!)

R
2009/04/04 09:03
今日、チャーチの帰りに車を運転しながら、満開の最高な桜を見ながら、「アマゾン川底のマホガニー」も十分魅力的だけれど、やはりロスト・ティンバーのバーチで作ったネックの方が、シンスカートとZブリッジ・バーチに最高な組み合わせなのではと思いました。

2009/04/05 13:40
一理ありますね。まだお見せするには早いかなと思いますが、後ほど、製作中のロストティンバー・バーチ製ネックの写真をアップする“かも”しれません。(綺麗に撮れたら、ね)

でも、アマゾンの丸太への窓口は開けておきますよ。実物を手にして試してみるまでは、ジャッジメントは下せませんからね。
R
2009/04/05 13:51

コメントする help

ニックネーム
本 文
ロストティンバーを使ったトニー・パスのリム(あれこれ1) デザートローズ・バンジョー/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる