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zoom RSS 戦前に作られたリムに関する補足+ブロックリムの話

<<   作成日時 : 2008/12/12 12:38   >>

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「戦前に作られたリムによくある問題 」への反響が大きくて少々驚いています。中にはご自分のリムを心配なさっている方もいるようで、ある意味、心配をあおって申し訳ない気持ちです。でも、現実は現実ですので、知っておいて損はないと思います。ということで、戦前に作られたギブソンのリムに関してちょこっとだけ補足しておきます。

以前、Banjo Hangoutで、誰かの「ぼくが手に入れたギブソンのプリウォー・バンジョーには、マルチ・プライリム(多重層から成るリム)がついている」という発言がきっかけとなって、戦前につくられたギブソンのリムが話題になったそうです。「多重層に見えたとしても、それはマルチプライリムとは違う」というのが結論です。

ニカワは熱や湿気に弱くはがれやすいので、(バイオリンなどの弦楽器は別ですが)バンジョーに関しては利点がないというのは前回もお話しました。しかし戦前は他の選択肢がなかったので、プライリムの接着にもニカワが使われました。しかしまっすぐな板を正確に曲げることは難しいため、板と板の間に隙間が残ってしまったり、リム製作後にハガレが起きることがあったようです。当時、このようなケースでどうしたかというと、あまりにひどいものは廃棄したかもしれませんが、それでは大赤字になってしまいますので、出来る限り修理して使用しようとしたようです。(当然といえば当然ですね) で、具体的にどうやって修理していたかというと、見えるところに大きな隙間があった場合は、そこにニカワを入れ、薄い板を叩き込んでいたんだそうです。これをサンディングして仕上げると、一見、マルチプライリムに見える、というのが真相なんだとか。(これは主に、トーンリングで隠れている部分に見られるそうです。まあ、表面がこうじゃ、廃棄するしかなかったでしょうけど。) 画像をご紹介できればよかったんですが、手元にありません。画像をどこかのサイトでみつけた方がいらっしゃったら、ご一報くださいね。


  補足:誰も教えてくれないから、自分で探したモンね!
      戦後のリムですが、『5 String Banjoな日常』の中で紹介されて
      いるものも、この一例みたいですね。

       『ボロGibson TB-250 パート4
      


先日ご紹介したリムに見られた隙間は、リムが作られた際には表面から見えない内部にあったものといえるかもしれません。仮に、表面にも隙間があったとしても、修理できるのは表面近くのみで、奥のほうでどのように広がっているかは分かりませんからこの方法では直せなかったでしょう。

「そんな、ごまかしのような仕事をしてたなんて信じられない」なんて思っている方いますか? でも、(別にギブソンの肩を持つわけではありませんが、)当時の材料と技術では、これが限界だったのではないでしょうか。そのうちに紹介しようと思っていますが、タートルヒル・バンジョーのデイブが、スコットの前の週にBanjo Talkに出演して、(うろ覚えですが)こんな趣旨の発言をしていました。言い得て妙といいますか、いつも皆様にお伝えしたいと思っていることを見事に代弁してくれた気がしているので、一足先に引用しておきます。


  当時ギブソンは、バンジョーを作ってたんだ。
     歴史を作っていたわけでも、
        コレクターのための楽器を作っていたわけでもない。


当時バンジョーを作っていた従業員さんたちは、60年後、70年後に、自分たちが作った楽器がウン百万円や、1千万円以上で取引されるなんて夢にも思っていなければ、隙間の1つや2つであーだこーだ文句言われるはめになるとは想像もしていなかったと思いますよ。皆さんは今、「半世紀後の人たちに、どこをどう見られても大丈夫」と胸を張って言える仕事をしてますか? 私は絶対ムリ、ムリ、1週間後ですでに後悔の嵐です。(笑)

ちなみに、こうしたニカワによる問題が明らかになっている現在でも、頑なに(バンジョーにも)ニカワがベストと言う人たちがいて、Banjo Hangoutでも時々大議論になるそうです。さて、皆さんのお考えは?



少し話を変えまして・・・

接着剤は良いものが出てきましたが、やはりもともとまっすぐな板を曲げて張り合わせるプライリムより、トニー・パスのブロックリムのほうが有利であると考えるビルダーは増えてきています。トニーのリムを最初に見出したのはスコットですが、彼のリムがマーケットで一気に広まったのはジェフ・ステリングの役割が大きかったですね。これまでにも何度がお話してきましたが、スコットが無理矢理トニーをIBMAに誘い、彼が持ってきたステリング・バンジョー(トニーのリムに換装)を数分弾いたジェフは、即、トニーのリムを採用することに決めました。

ここからの話は、先日スコットがBanjo Talkの司会者Davidと電話で話しているのを小耳に挟んだ、ちょっとした話なのですが、私的には「なるほど」と思う点があったので、ステリング愛好者のためにお話しておこうと思います。

ステリングが昔、オーキー・アダムスの手によるブロックリムを採用していたことは、多くの方がご存知だと思います。しかしその後、トニー・パスと契約するまで、プライリムを使っていたのも事実です。この点について説明しておきたいのですが、ステリングが一時期プライリムを使ったのは、「ブロックリムより、やっぱりプライリムのほうがいい」という判断によるものではありません。オーキーの健康問題(昨年だか、お亡くなりになったそうです)のために、ジェフ・ステリングはブロックリムを入手することができなくなり、当時は彼以上のブロックリムを作る人がいなかったため、しかたなくプライリムへ切り替えたんだそうです。もともとステリングは、プライリムよりもブロックリムのほうが理にかなったリムと信じていたので、IBMAでトニー・パスと出会って即決での契約に至ったわけです。優れたブロックリムと再び出会えた。そして、当時は最高のブロックリムと思っていたオーキーのリムよりも、はるかに優れたブロックリムに出会えたジェフは、さぞ大興奮したに違いありません。

スコットも、(少なくとも今マーケットに出ているものでは)トニー・パスのリム以外、自分のバンジョーにつけることは考えられないようです。IBMAで、価格を抑えたTPSリムをつけたレコーディングカスタム・バンジョーが非常に好評だったそうなので、プレーヤーにとっては有力な選択肢が増えたことになります。音の感じ方は人様々ですので、どちらをお薦めするかは難しいところですが、プレーヤーの反応を見ると、「とにかく、オールド・ギブソンの音が一番!」という方には、むしろTPSリムのほうが向いているかもしれない、という感じだそうです。ステリング大好きという方や、オールド・ギブソン以上の可能性を求める方には、レギュラーがお薦めです。さらにマーケットの好みが明確になってきたら、またお伝えしていきたいと思います。

* 発売のごく初期にトニー・パスのリムをご購入してお試しいただいた方には大変申し訳ないのですが、現在、トニー・パスのリムは(特注以外)100パーセント、バーチ製となっています。







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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
トニーのコメントは素晴らしいですねー!
ちなみに、私のold Gibsonも、スコットによって、リムの隙間を修正して貰いました。
その結果は、果たしてご想像通り、はるかに良く鳴るようになりました。Thank you!です。

2008/12/13 18:41
デイブのコメントのことですね。Banjo Talkを聞いていて、思わず「そのとおり!」と声に出していっちゃいました。(笑)

やっぱり、隙間はプライリム(特に戦前のもの)にはつきものの問題みたいですね。稲さんのOld Gibsonの音が改善されたとお聞きして嬉しいです。スコットは現在、このリムを修理中です。このお客様にも喜んでもらえるといいな〜。
R
2008/12/14 09:05
修理中のバンジョーの持ち主です。早くなおってくるのが楽しみです。
うみやま
2008/12/18 16:24
うみやま様

業務連絡でございます。
クリーニングも終わり、本日、組立ても終了しました。明日いよいよ弦を張って、最終セットアップをいたしますので、もうじき発送できますよ!
R
2008/12/18 18:21
期待しています
ワクワク
うみやま
2008/12/18 21:43
うみやま様
初めまして、稲井田です。
よかったーですねー!
今晩、寝れないかもですね。

2008/12/19 23:22
稲井田様
明日か明後日に到着するそうです。
楽しみです。
うみやま
2008/12/25 07:51
うみやま様
着きましたかー?
鳴りの変化はいかがですかー?

2008/12/29 08:08
稲井田様
返事が遅れてすいません。
鳴りは最高です!!
うみやま
2009/01/07 16:14
うみやま様
やはり、でしょう?あー、良かった!
もし宜しければ、そのバンジョーはどんなタイプか教えて頂ければ幸いです。

2009/01/07 16:27
うみやまさん、稲さん、私も混ぜてくださ〜い。 調子良さそうで何よりです。素晴らしいバンジョーですから、金属パーツの手入れを忘れずに、末長く愛用してあげてくださいね。
R
2009/01/07 17:03
返事遅れてすいません。
1934年?TB−75です。
うみやま
2009/01/31 19:20
うみやまさん
ご返事をありがとうございます。
わー、すごい75ですかー!
私の一番好きな音のする(ジムミルズの音が好き)75ですね。それは、オリジナル・フラットヘッドですか?

2009/02/07 07:31
稲井田さん
オリジナルではありません。
でも、気に入ってます
べラフレックを意識しています(笑)

うみやま
2009/02/07 18:21

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