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zoom RSS 戦前に作られたリムによくある問題

<<   作成日時 : 2008/12/10 10:25   >>

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昨日「最近は忙しくて」と申し上げましたが、たくさんのお客様からセットアップのご依頼などが多く、スコットも、(問題点などをお客様に報告する)私も、大忙しの日が続いています。(さまざまなご依頼をいただきました皆様、どうもありがとうございました。) 「セットアップ」という言葉を使ってはおりますが、本来、「セットアップ」という作業は、分解や組立を含みません。しかしデザートローズ楽器のHPをご覧いただければ分かりますように、お客様のバンジョーをお預かりして行う「セットアップ」は、分解から始まります。「分解・組立・セットアップ」では長ったらしいので、便宜上「セットアップ」と呼んでおりますのでご了承ください。

まだご覧になったことがない方もいると思うので、ぜひHPのセットアップに関するページをご覧ください。

 「大好評のセットアップについて

特に注目していただきたいのが、3つ目の★のところにある「問題が見つかった場合は、リムの修理、トーンリングとリムのフィット調整」です。ここに「この2つの問題を解決しない限り、その他の場所をどういじろうが、どんなに高価なパーツをつけようが、音の劇的な改善は望めません。」と書いてありますように、リムの状態が不良であることは、バンジョーの音に致命的ともなりかねない大問題です。

「トーンリングとリムのフィット」に関してはまた別な機会にでもお話するとして、今日は、リム自体の問題として代表的なものを、画像を紹介しながらお話したいと思います。それは、特に戦前に作られたプライリムに比較的よく見られる問題で、板と板がハガレて、隙間ができてしまっていることです。小さな隙間が1つあるだけでも振動を伝達する妨げとなり、音に影響が出るそうです。今回のリムは、この問題の典型的なケースであるだけでなく、問題箇所の数が多く、これほど分かりやすいケースは滅多にないので、読者の皆様にご紹介したいと思います。

スコットは、お預かりしたこのリムのシリアルナンバーから、1936年製のRB-75(アーチトップ)につけられていたものである可能性が高く、後に誰かがフラットヘッド用にカットし直したものであることを突き止めました。しかし、具体的な年号を調べずとも、トーンリングをはずした瞬間に、これは戦前に作られたリムと99%分かっていたそうです。理由の1つが、この隙間です。戦前、接着剤としてニカワが使われていたため、こうした問題が起きやすいのです。「百聞は一見に如かず」ですので、早速画像をご紹介します。最初の画像に、どこに、どの程度のサイズの問題があったかを示しております。その後に各場所のアップ写真をご紹介します。(各画像をクリックしていただくと、拡大画像がご覧いただけます)

  補足:今回のリムは、アーチトップ用のものをフラットヘッド用
      にカットし直したことによって、通常は見ることのでき
      ない、リムの内部が露呈してしまったことによって発見
      できた特殊なケースではあるかもしれません。
      これがアーチトップ用のままであったら、中のこういう
      状態は想像すらつなかったかもしれません。もちろん、
      カットし直したことによって無塗装・無防備になったカ
      ット面が外気にさらされて、ハガレが起きた可能性もゼ
      ロではありませんが、ついていたトーンリングとのフィ
      ットは良かったそうなので、多分、フラットヘッド用にカッ
      トし直したとき、すでにこの状態だったんじゃないでしょ
      うか。(後で隙間ができたのなら、開いてしまった分だ
      けフィットがきつくなっていたはずですから)

      ちょっと宣伝しとこっと。(笑) プライリムにはつきもの
      の、各層間の隙間という欠点を排除したことが、トニー・
      パスのブロックリムの数多い長所のうちの1つです。も
      ちろん、そのためには、ブロックの正確なカット(+良い
      ピースだけを厳選)と、高度な接着技術が不可欠であ
      るため、ブロック・スタイルならどのメーカーのものでも
      いい、というわけではありません。
      

画像

       パッと見たところ7箇所の問題がありました。

       反対側、つまり塗装面側にも一筋、隙間が
       でき始めていました。ハガレが反対側に
       まで達してしまったんですね。通常は、こうい
       うかたちでしか、隙間がみつかりません。

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            1と2のアップ

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            3のアップ(1)

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            3のアップ(2)

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            4のアップ

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            5のアップ(1)
            ニカワが見えてますね

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            5のアップ(2)

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            6のアップ

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            7のアップ

画像

            7のアップ(2)

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            7のアップ(3)


戦前に作られたバンジョーをマーケットが求める余り、名前は挙げませんが、ニカワを使うといった細かい点まで戦前の手法を再現しようとするビルダーもいます。しかし、スコットが常に言うことに、「当時はそれが良いと思われていたことでも、今では『あれは間違っていた』と認識されていることもあれば、もっと良いものに取って代わられていることもある」ということがあります。戦前はニカワしか選択肢がなかったから使わざるを得なかったのであって、優れた接着剤がある現代、(バンジョーに関しては)ニカワを使うことに全く利点はないと考えています。

話をこのリムに戻しますと、私はまずスコットから、お客様と連絡を取り、このリムについて確認するように指示されました。戦前のものであることはまず間違いないけれど、念のために、お客様からも情報をいただきたかったからです。なぜそうしたことを知る必要があるかというと、戦前に作られた貴重なビンテージリムと、現代に作られたリムとでは、バンジョービルダーとして修理のアプローチを変える必要があるからだそうです。ビンテージ品に対しては、「修理」というよりも「修復」または「保存」、言い換えれば、音の改善のためなら何でもやっていいわけではなく、(特に外見的な)原形はできる限りそのままに留める・残すべきと考えています。スコットのビルダーとしての原点が、マッケイブズ・ギターショップ(アメリカ カリフォルニア州サンタモニカ)でマスター・ルシアーから修復を学んだことにあるため、といえるかもしれません。 (最近作られたリムであれば、「音の改善」が優先です)  

  
  補足:このリムを手当てした後は、きっとその違い
      に驚き、ご満足いただけるはずとスコットが
      言ってました。ですので、心配してくださった
      皆様も(?)ご安心くださいませ。
      むしろ、こうした隙間の存在を知ることがで
      きただけ、このお客様は、ラッキーだったと
      思います。アーチトップのままだったら、永
      遠に気づかれることはなかったかもしれま
      せん。そう思いません?
 


ここまでリムの問題が大きい場合は、申し訳ありませんが、セットアップ料金にプラスして、若干のリペア料金がかかります。でも逆に言うと、例えばリムを修繕するための数千円で、高価なパーツを購入して換装しなくても、音が劇的に改善することはいくらでもあります。あるお客様の場合は、トーンリングの換装もお考えだったのですが、「リムとトーンリングのフィットを修正すれば、きっとお望みの結果が得られると思いますから」と提案させていただきました。何でもかんでも、高いパーツを購入して取り付ければいいというものではない、という典型的な例だと思います。

おかげさまで、多くの方々からセットアップのご依頼をいただいております。スコットは無休で頑張っておりますが、1人の人間でやれることには限界がありますので、少しお時間に余裕をみていただくようお願い申し上げます。バンジョーやネックなどのカスタム製作を受注する際、予定期間をお知らせしているのですが、それをオーバーしてしまうことがございます。カスタマーサービスをしているRとしましては、お客様に大変申し訳なく、スコットに毎日ガーガー言ってもいるのですが、きのう、ふとあることに思い当たりました。私がお客様とのコミュニケーションを担当し、ブログも始めるようになって1年と少々。ありがたいことに、Zブリッジをはじめとする販売数も、修理・セットアップの件数もぐっと増えてまいりました。(「本当にありがとうございます」by R ) しかし、そのためにスケジュールが押すようになってきたのも事実です。(修理等をご依頼くださる方に、「3ヵ月後まで受けられません」ということもできませんし、どうしても、当初の予定にさまざまな仕事が割り込んでしまうのです。) ただハラハラ見ているよりは・・・と、最近では、お客様との連絡係にとどまらず、できる範囲で仕事も手伝い、まるでスコットの弟子か使いっぱしりのようなRです。 

皆様からのご愛顧に心より感謝すると共に、ご不便をおかけしている方々には心よりお詫び申し上げます。






















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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
スコットの「Zブリッジ」は、確実に売れ行きが伸びると確信しています。(特に裏メニューは)

2008/12/10 22:57
本当に、Zブリッジユーザーのクチコミのおかげです。アメリカでも安定した地位を確保しており、ジャネット・デイビスからは、年がら年中「納品はまだか」「どうなってる」と催促されているような状況です。
裏メニューは、まだ裏メニューのままですので、ボチボチというところでしょうか。そろそろ表に出しましょうか、稲さん。(あ、でも、また仕事が押すし、どうしよ〜!)
R
2008/12/10 23:03
今、スコットのBanjo Talk(banjo hungout)を聞きながら書いています。アーチトップがどうのフラットヘッドがどうのと言っていますが、全く分かりません。Rさん、概略で良いですから早く教えて下さい。また、Zブリッジの裏メニューを表にするかは、本当にすごい決断がいると思いますよ。ひょっとしたら、私の勘ですが、この業界を一変してしまうかもです。制作に、手もかかることですし、すこーしばかり価格を上げて販売すれば良いのではと思います。

2008/12/11 20:40
アーチトップやフラットヘッドの話が出たのは、確かトニー・パスのウディに関してだったと思います。なるべく早く、部分的にでも紹介したいと思いますので、待っててくださいね。
R
2008/12/11 23:24

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