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zoom RSS トニー・パスのインタビュー (4)

<<   作成日時 : 2007/12/18 14:31   >>

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トニー・パスのインタビュー、今日はいよいよトニーのリムの本質に迫ります。

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司会:
ジェフはすべてのステリングバンジョーに君のリムを使ってるけど、全部シンスカートなのかい? 普通のものは作らないの?

トニー:
2002年か2003年だったか、とにかくシンスカートを作り始めてからは、ノーマルスカートのステリングリムは全く作っていない。

司会者:
リムの下部は1/2インチって言ったっけ?

トニー:
ワンピースフランジのギブソンスタイルリムは1/2インチ。シンスカートの効果が最も顕著に現れるのは2ピースフランジのギブソンリムで、 1/2(0.500")インチか0.600"。ジェフ・ステリングは0.600"が気に入ってる。

司会者:
大きな違いだな。1/4インチ近くじゃないか。

トニー:
そうだね。ステリングリムは、空気の入る空間が16立方インチ広がったことになる。

画像


司会者:
そうだね。これによって低音が強くなっただけでなく、空気量も増えたから、さらにパワフルになるわけだ。もしステリングのバンジョーを弾くか聴いたたことがあれば……主観と言われるかもしれないけど、ボリュームということに関しては……いや、これは主観ではなく事実だ……ステリングほど大きな音のバンジョーは他にはないだろう。もし、トニーのシンスカート、ブロックリムがついたステリングで大きな音を出そうとすれば、信じられないくらい、ものすごく大きな音になるよね。コマーシャルを入れる前に、もう1つ。ビルパーマーがサイトで君のリムにふれたときに指摘してたんだけど、古い本に昔のブロックリムの写真が載ってるよね。アールスクラッグスの本……僕も持ってるんだけど、多分皆も持ってるだろうね……あれにもブロックリムが載ってたと思う。他にもあったと思うよ。すぐには思い出せないけど。

トニー:
ロジャー・シミノフの"How to make a blugrass banjo"。(注1)

画像

   注1:トニーは、"How to make a bluegrass banjo"と言っています   
      が、どうやらこの、"Constructing a five-string banjo"のよう
      です。
      
司会:
そう、ロジャー・シミノフだ。これらの本に載ってるブロックリムの写真を見ると、つなぎ目がはっきり見えるというか、接着剤までしっかり見えてるじゃないか。だけどトニー・パスのリムの場合は、そういうものは全く見えないね。

トニー:
ああ、見えないよ。僕がめざしたのは、できるだけsolid(堅固な、隙間のない)なものに近づけることだった。単に木をくり抜いて作ったんでは、90%はend grain(注2)が露出した状態になってしまうから、弱いリムになってしまう。スクラッグスの本にあるのは、プレート(平板)を使ってるから、あれはブロックリムではなくて、レイヤードリム(注3)だ。あの写真は潜在的に、僕の頭の中にあった。「アイディアはいい、でも、もっと精密さが必要だ」と思った。僕は、扱っているのが木だということを忘れるように努め、アルミニウムだと思おうとした。すべて機械でカットし、大きな力で締め、接着剤をしぼり出し、木と木が密着するようにしたんだ。

   注2:樹木を幹や枝の軸に直角に切ったときの断面。
      横断面、木口面。

   注3:平板を3枚重ねて接着し、リムの形にカットしたもの


司会者:
つまり、ほとんど接着剤は残ってないわけか。もちろん、バラバラにならないように多少は必要だろうけど、ほとんどは木の気孔の中に入るか、押し出されてしまうわけだね。

トニー:
そのとおり。実験的に万力にはさんで壊そうとしたら、つなぎ目のところで割れずに、木自体が割れてしまったんだ。

司会者:
つなぎ目のところで壊れたんじゃなくて?

トニー:
そうだよ。もしも、つなぎ目のところにほんのわずかな隙間でもあれば、その隙間は接着剤で埋められるのだから、リムはそこから割れたはずだ。

司会:
そりゃそうだ。接着剤(の部分)は強度がないからね。つなぎ目には接着剤があるわけだから、一般的に言えば、つなぎ目は木部よりも弱いことになる。

トニー:
そう。

司会者:
ビル・パーマーが取り上げていて、僕も気づいたんだけど…… 君のウェブサイトにあるリムの写真は……画像をフォトショップで拡大しても、木と木のつなぎ目の場所は分かるんだけど、つなぎ目の接着剤は全く見えないよね。

トニー:
もし、つなぎ目を顕微鏡レベルで見れば、接着剤が木の深いところまで入り込んでいるのが見えるはずだよ。

司会:
誰に聞いたか思い出せないんだけど……ジェフ・ステリングだったかも。いや、思いだせん。でもいいや、ここでは大事なことじゃないから…… ああ、クリフ・グリッチだったかも。この番組とも僕個人とも親しい友人だから…… とにかく、僕は尋ねたんだ。「ブロックリムの場合は木片の数が多いから、ラミネイテッドリム(←プライリム)より接着剤も多く使われてるんじゃないか?」って。これもマヌケな質問なのかもしれないけど、実際使われている接着剤は(プライリム)より少ないんだってね。

トニー:
僕のリムの場合、木と木が接している総面積は、プライリム1層分の接着面積よりも少ないんだよ。使用されている接着剤の量にすると、多分、プライリムの1/10くらいだと思う。

司会:
プライリムの場合、エラーも多いしね。(注4) 木にしている事を考えれば当然だけど。

   注4:プライリムの場合、木材に高温スチームをあてて曲げる製法
      であるため、3層がぴったり密着するように曲げることは難しく、
      隙間ができてしまいます。(高温スチームを当てると、曲げた
      い方向以外にも板がしなってしまうので、さらに隙間ができや
      すくなります)  司会者が言う「エラー」とは、これらの隙間を
      さしており、こうしたギャップは接着剤が埋めることになるため、
      プライリムに使用される接着剤の量は多くなる傾向があります。

トニー:
そうだね。堅固な木に近づけるために、木片(ブロック)同士をどこまで密着させることができるのか、それが僕の求めたものだったんだ。

司会:
堅固な木であって、小さな木片(ブロック)の集合体ではない、ってことだね。

トニー:
そう。僕は、リムを作り始めたとき、以前にブロックリムを作った人がいたなんて知らなかったんだ。

司会:
番組の最初でそう言ってたね。

トニー:
知らなかった。ジェフがオーキー・アダムスの名を口にしたのは、僕がジェフに、リムを50個も納品した後のことだった。ジェフは、オーキー・アダムスが1970年代に僕と同じブロックリムを作っていた、と言ったんだ。1年間だか2年間だか、忘れちゃったけど。とにかく、オーキーの名前を聞いたのはその時が初めてで、前にも誰かがブロックリムを作ってたなんて、それまで全然知らなかったんだ。

司会:
特許の内容には触れなくてもいいけど、どうすれば、あれほど完璧にフィットさせることができるんだい?

トニー:
すべて機械だよ。ブロックを合わせるとき、手で少し調節するけどね。調整可能なfixtureと12インチのディスクがあって、ちょっとだけ手作業で調節するけど、99パーセントは機械だ。

司会:
君のリムを見ると、つなぎ目の位置は分かっても、接着剤は全く見えないよね。皆無だ。これっぽっちも見えない。スクラッグスの本なんかを見ると、接着剤が丸見えだ。それもすごく厚い。こんな状態だと、まずリムが弱くなるし、第2に……また主観的になるかもしれないけど、バンジョーの音も損なわれてしまう。

(次回に続く・・・)

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トニーのリムをお持ちの方は、これを読んだ後、つなぎ目をじっくりご覧になるのでは? でも、くれぐれも、「強さを確かめるために割ってみよう」なんて思いませんように。

トニーがリムを製作し始めてから今日まで、トニーのリムを絶賛するプレーヤーが大勢いる一方で、「ブロックリムは良くない」と頭から決めつけ、トニーのブロックリムを試そうとも知ろうともせずに否定する人たちがいたのも事実でした。彼らの頭の中には、「ブロックリム」=「1970年代のブロックリム」という固定観念があって、トニーのリムが全く別物であることが理解できないのだとか。「ブロックリムだって? あんなの、昔作ったヤツがいたけど、使い物にならなかったじゃないか」って感じなんでしょうかね。。。

トニーのリムをめぐる熱い議論は今後もまだ続きそうですが、トニーのリムをかたくなに否定する人たちの中には、ある事情が関係している人(メーカー)もいるそうです。以前も少しお話しましたが、過去20以上に渡り、多くの人やメーカーがプリウォー・バンジョーの音の再現をめざしてきました。その動きの中で、ごく最近までは「プリウォー・バンジョーの音を再現するカギはトーンリングにある」という考えが主流であったため、皆、長年トーンリングの研究・開発に打ち込んできました。そこへ突如現れたトニー・パスのブロックリム。。。 長い年月と多額のお金をトーンリング開発につぎこんだ人たちの中には、今さら「プリウォー・バンジョーの音を再現する秘密は“リム”にあったのかもしれない」などと言われても受け入れなかったり、良い評判を耳にしても拒絶反応しか起きない人もいるようなのです。話題となっているリムが、バンジョー作りに関してはド素人同然のトニーが偶然作ったようなリムなだけに。。。心中お察しします、って感じです。。。 このバトルの行方、どうなるんでしょう。アメリカで白熱している議論の裏事情をちょこっと紹介させていただきました。

もちろん、音の好みは人さまざまで、それは尊重されるべきです。トニーも、「だから『Basukin Robins(サーティーワン・アイスクリーム)』には、たくさんのフレーバーがあるんだよ」って言ってますから。  ただ、このインタビューを通して、リムに関して理解を深めていただければ、とても嬉しいです。(R)


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