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zoom RSS トニー・パスのインタビュー (5)

<<   作成日時 : 2007/12/23 20:41   >>

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お待たせしました。トニー・パスのインタビューの続きです。今日は、リスナーからの質問を受け、トニーが発見した、プリウォー・リムに共通する興味深い特徴を語っています。

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リスナーからの質問
「トニー、素晴らしいパーツを作ってくれてありがとう。優れたバンジョーを弾くときには、常に、ネックにバイブレーションを感じるような気がします。こうしたバイブレーションを感じたのは、プリウォー・バンジョー、そして、プリウォーより少しバイブレーションが少ないものの、あなたのリムがついた新しいバンジョーです。どうやって経年のスピードを早めているのですか。演奏することだけでなく、リムの構造にもあるとお考えですか。私の経験では、あなたのリムは、最高の音を提供してくれるリムです。」

トニー:
ありがとう。褒めてもらって感謝するよ。質問にお答えすると、君の言うとおり、僕のリムは、「良く鳴る(good sounding)“新しい” リム」だ。さっきプライリムについて話したことを覚えているかな。僕はプライリムを削ることもあるし、実際には、ブロックリムを削るよりもプライリムを削るほうが好きなんだ。仕事が簡単だからね。スムーズだし、サンディングする必要もない。しかし、プライリムは、常に形が変化し、真円ではなくなってしまうんだ。これは、木が(曲げられた)ストレスを解消しようとするためだ。プライリムは、削られるたびに、元に(=まっすぐに)戻ろうとする力が働く。問題は「この現象がいつ止まるか」なんだけど、プリウォーのリムに関しては、すでに止まっているようなんだ。
 
1年半くらい前、スコット・ズィママンからある仕事を依頼されて、1926年のRB00のリム(注1)が送られてきた。厚み3/4インチ、高さ3インチで、シュー用の穴は彼によって埋められていた。これはちょうど、ブランク(削る前のリム)をブルーグラス用のリムに削るのと同じようなもので、そのリムに、1ピースフランジとトーンリングをつけるように頼まれたんだ。スコットから頼まれてたリムは他にもあったんで、そのリムは削った後4日間放っておいたんだけど、4日後、試しにリムのサイズを測ってみたら、リムは完璧な真円のままで、サイズも全く変わっていなかったんだ。削った後に全く変化しないプライリムに出会ったのは、それが初めてだった。ここで言う「プライリム」には、“オールドウッド”を使用して作られた新しいリムも含まれてる。タイムレスティンバーを使っているショーケースのリムとか、ファクトリーフロアーのリム(注2)とかも削ったことがあるけど、1つ残らず変形してしまったんだよ。

   注1:オープンバック・バンジョー用のリムでした。

   注2:サリバン(ファースト・クォリティー)のリムです。1875に作られた
      工場(たしか、靴工場?)が解体されることを知ったビル・サリバ
      ンは、工場の床に使われていた木材(メイプル)を買い取りまし
      た。結局2005年に解体されたそうなんですが、楽器メーカーに
      とってはお宝(100年以上前のメイプル)の山だったわけですね。


ある日、僕の仮説をディック・スミスに話すと、彼は「僕のところにもプリウォーのオープンバック用のリムが3つあるから、試してみたらいい。好きなだけ使ってくれてていいよ」と言って、リムを送ってくれたんだ。3つのうち、1つは(あまりに変形がひどくて)削れなかったけど、残りの2つを削ってみると、やはり、その後変形することはなかった。(2つのリムを削った後、)レイバー・デイの祝日があって、工房には5日間誰も入らなかった。エアコンがついていなかったんで、道具が錆びるほど工房内の湿度は高かったんだよ。僕は、工房へ入るとすぐ、ノギスでリムをチェックした。すると、このリムにはフィニッシュが施されていなかった(注3)にも関わらず、寸法は全く変化なしだった。この結果を受けて、僕の仮説は正しいと思った。つまり、(プライリムが変形しなくなるためには)「どれだけ古い木が使われているか」ではなく、「どれだけ長く、木が曲げられていたか」が重要なんだ。

   注3:湿度の影響を受けやすい

司会:
そりゃそうだ。曲げられたばかりは、木は元に戻ろうとする。

トニー:
(曲げられた木が)開こうとする力があるんだ。(曲げられた)ストレスを解消するためにね。

司会:
そうだね。

トニー:
そういう“開こうとする力”があるんだけど、時が経つと、木が少しずつ乾燥し、(曲げられた状態も含めて)すべてが自然な状態となり、いつのまにか木は、かつて真っ直ぐだったことを忘れてしまうんだ。次にやりたい実験は……どうやればいいのかよく分からないし、やり遂げる前に僕は死んじゃうと思うけど(笑)、まず、リムを50個用意するんだ。そして1年経つごとにリムを1つ削るという作業を続け、どれだけ寸法が変わるか、そして何年後に変化が止まるか、データを取っていくんだ。そうすれば、プライムリムが安定するまでに、どれだけの期間が必要か分かる。

司会:
トニーのリムを買ったほうが早いな。

トニー:
確かに僕のリムは変形しないよ。でも僕のリムの音が嫌いなら、新たにもう1つ買うのはやめたほうがいい。どれも同じ音だから。

司会:
そうだね。

(次回へ続く・・・)

画像


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「木が、かつて真っ直ぐだったことを忘れてしまう」なんて、面白いですね。

トニーのリムを気に入っている人は、プリウォーのリムに非常に似た音がすると言っているそうなのですが、今日の話の中にヒントがあるのかもしれません。

スコットに聞いた話ですが、新品のプライリムを使用した場合は弾き込んでいくにつれてゆっくりと音が変化していくのに対し、トニーのリムの場合は、ある時突然音が変化し、それ以降は変わらないのだそうです。この現象を、アメリカのプレーヤーたちは、BAM!!という言葉で表現しているのだとか。(bam!は、「ドン!」とか「バン!」とか殴打の音なんですが、それくらい突然変わるという意味で使ってるそうです) 早ければ数時間で変化が起きる(注4)そうですが、とにかく、トニーのリムの場合は、この変化が起きるまで弾き込むことが大事とのことです。(R)

  注4:スコットがIBMAに持っていったバンジョーに関しては、いろ
     いろな人が試演し始めて、数時間で音が変化する、という経
     験を何度もしているようです。面白いことに、この変化は演奏
     中に起きるとは限らないそうで、演奏した翌日、バンジョーを
     ケースから取り出して弾いてみたら、音が変わっていた、とい
     う報告もあるそうです。

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